この度、9月4日〜9日まで東京有楽町にある東京交通会館にて展示が行われていた
「第29回前田記念実用書道展」にて、私の作品が最高峰の「前田賞」に選ばれました。
この展覧会は、賞状をメインとした日本で唯一の実用書道展です。
この記事では、
- 前田記念実用書道展について
- 今回の出品における取り組みについて
- 受賞の感想
などを紹介します。
「前田記念実用書道展」とは
「前田記念実用書道展」とは、日本賞状技法士協会が主催し開催する賞状をメインとした日本で唯一の実用書道展です。
年一回開催されます。
- 賞状の部 最高峰「前田賞」
- 関連技法・指定課題の部 最高峰「優秀賞」
- 受講期間1年半までの受講生対象「新人賞」
などの各部門での上位入賞を目指して、全国から200点ほどの受講生の作品が審査されます。
入賞作品の展示は、東京と大阪にて行われます。
今年初めて実用書道展に挑戦してみました
この実用書道展に挑戦したのは、今年が初めてのことです。
というのも、昨年は賞状技法士養成講座を通信で受講開始してまだ数ヶ月でしたので、出品できる状態ではありませんでした。
そして展覧会の会場に出向き、たくさんの美しい賞状に目を奪われ、
「来年は挑戦できるように頑張ろう」と思ったのでした。
たくさんの刺激を受けた私はその後、
- 筆の持ち方を見直してあれこれ試してみたり
- 基本点画について追求したり
して、筆力向上を目指して練習していました。
そしてあっという間に今年の展覧会の申し込み時期がやってきました。
出品する賞状の題材や文章は自分で自由に決めて良いとは言え、お手本がない中で見栄えの良い賞状を書くことは本当に難しいことでした。
普段の為書きのお仕事では、程よい緊張感の中で集中して書くことができるのですが、
作品の出品となるとものすごい緊張で余計な力が入ってしまい、今まで書けていたと思っていたところが書けなくなったり、手がガタガタと震えたりと、本当に参っていました。
受賞の感想
なんとか7月上旬の作品提出期限に間に合ったのですが、
「また来年頑張ろう。やり切ったことに意味がある」
と、不甲斐ない自分に言い聞かせていました。
そんなところへ作品の審査結果の通知が届いたときには、驚きと興奮であたふた・・
数週間は、前田賞を受賞したことを信じられませんでした。
受賞の率直な感想は、「賞状技法について学び始めて日の浅い私が受賞して良いのだろうか、本当に信じられない」という気持ちです。
というのも、毎年上位入賞者は書道歴の長い方ばかりだそうです。
私は実用書道を始めて
- 最初の1年は通信で受講
- 2年目からは通学で受講
しており、担当の講師の方に一から丁寧に教えていただけて本当に感謝しています。
そして、展覧会に出品してみて改めて、
「そのときの自分で出せる最高のものを目指して書く」という過程がとても重みのあることだと感じました。
「もうダメだ〜 書けない・・どうしよう」と焦っているときに、自分でどう気持ちを立て直したら良いのかを考えたり、
それでも「もっと綺麗に書きたい」と思えば思うほど、力が入って手がプルプル震えてしまってどうしたらいいかわからなくなったり。
この過程は、単に展覧会に出品するということではなく、自分と向き合う作業なのだと改めて痛感しました。
日々の練習でもそうですが、展覧会のために練習をしている時間の方が自分が試されていると感じますし、自分の弱さや情けなさを感じることで、新たな改善点が見えてきたと思います。
今後も少しでも自分の目指す字に近づけるように、努力精進を続けたいと思います。